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2010年9月 5日 (日)

■第30回高校生クイズ:ハッブル定数による宇宙年齢の推定と隕石の衝突による津波の高さの計算

先週の「たけしのコマ大数学科」の記事を書く前に、先日、放映された「高校生クイズ」の準決勝問題で気になった2問を消化しておく^^; 前回、第29回の「ピラミッドの石の数」と「太陽の寿命計算」でも書いたけれど、この「高校生クイズ」は正解かどうかだけで、それをどのように解いたか、解法に関しては、まったく触れていない。歴史や地理などの暗記問題に関しては、「知っているか」、「知っていないか」なので、「へぇ~そーなんだ」という感じでスルーできるが、物理や数学の問題の場合は、どのように解いたのか、その解法が気になる爺であった^^;

まずは、ノーベル物理学賞者、益川敏英さんからの問題

ハッブルの法則「v=H(0)r」を用いて現在の宇宙の年齢を推定せよ。

≪条件≫
※天体が地球から遠ざかる速度:v 天体と地球間の距離:r
※ハッブル定数H(0)=70.5km/(s・Mpc),1Mpc=3.09×10^22m
※vの値は宇宙誕生から一定
※有効数字3桁で答えよ

問題も重要だが、条件もそれと同じく重要だと爺は思う。しかし、番組では、ものすごく小さな文字で表示してあった。だから「え~?それだけでホントに計算できるの~?」と疑問を持った人も多いのではないかと思う。番組を見ていて、単純に「すげ~!」と思う反面、数学の問題では、なぜ、そーなるのか「もやもや」を感じるのは、爺だけだろうか。もっと、番組を見ている人向けの解説があってもいいんじゃないの? そーじゃないと、残暑厳しき折、「もやもや」指数も増えて、精神衛生上よろしくない^^;

で、自分を納得させるために、どのよーに考えたらいいのか、説明を試みてみる。爺の書いた記事を読んで、さらに「もやもや」が広がってしまったとしても、爺は関与しない^^;

まず、「70.5km/s/Mpc」という単位だけど、70.5km/秒/メガパーセク。つまり、1メガパーセクあたり、毎秒70.5kmという速度になる。パソコンのメモリで「キロバイト(KB)」や「メガバイト(MB)」、「ギガバイト(GB)」などの単位があり、キロ(K)は1000倍、メガ(M)は、1000倍の1000倍で100万倍ってことは知っているけど、「パーセクってなに?」とゆー疑問を持つかもしれない。パーセクとは年周視差(parallax)が1秒(second)角になるような、天文単位のことらしいけど、この際、難しいことは考えるのはよそう^^; また、「r」は、「天体と地球間の距離」とあるけれど、いったい「どの天体との距離なんだよ」とツッコミたくなる気持ちもわからなくもない、ここでいう天体とは、宇宙のこと。つまり、地球からみることのできる宇宙の範囲(大きさ)ということになる。

たとえば、東京から新幹線に乗り、今、新大阪に着いたとする。「v」は、東京から遠ざかる新幹線の平均時速、「r」は、東京・新大阪間の距離と考えれば、距離÷平均時速=所要時間となる。

図(2)

こーゆー計算で気をつけなきゃいけないのが、単位を揃えることだ。

図(3)

準決勝に進んだ4校のうち、「旭川東」と「船橋」が正解。「浦和」の答えは「4.38×10^17」だったが、答えるときに「秒」と言っていた。この答えを(60*60*24*365=3.1536×10^7)で割っていれば、正解となったのに……(※問題は「宇宙の年齢」を答えることなので、やっぱ「秒」だとマズイかも……)。「開成」は、計算方法は合っていたものの、どこかで計算ミスをしたらしく「140億年」という答えだった。

この問題の条件として、「vの値は宇宙誕生から一定」とあるが、宇宙は加速しながら広がっているようだ。これを加味すると、現在、宇宙の年齢は137億年と推定されている。

さらに、準決勝では、こんな問題が出題された。

直径10kmの隕石が(太平洋に)衝突したとき、発生する津波の高さは?

≪条件≫
※隕石は球体、密度2000kg/m^3、衝突の速度20.0km/s
※衝突時の運動エネルギーの3%が海水の位置エネルギーに変換
※中心から半径400kmの円心状に津波が発生
※衝突地点の平均水深は4km、海水の平均密度は1000kg/m^3
※重力加速度=9.80m/s^2
※有効数字3桁

これって、ちょっと前の「コマ大数学科192講:物理学Part3」で、位置エネルギーが運動エネルギーに変換される。その両者は等価であるってゆー問題と似ている、つーか、同じだよね。この問題は、その逆も真なりとゆー感じ^^; つまり、隕石の運動エネルギーの何割かと、津波の位置エネルギーが等しいとゆーことね。

図(5)

「たったこれだけで、隕石が衝突したときの津波の高さが計算できるの? だって、隕石が突入した角度とか、問題文には書いてないじゃない」と疑問を持った人もいるかもしれない。隕石がどんなぶつかり方をしたのかはわからないけれど、問題文の条件には、「隕石の運動エネルギーの3%が海水の位置エネルギー(津波の高さ)に変換」とあるので、計算できるのら。

で、爺は計算が苦手なので、数式処理ソフト「Maxima」に頼りっきりだ><; Maximaに条件としてわかっていることを変数として書く。有効数字3桁で答えるので、今回は、計算を簡単にするため、円周率は、3.14とする。隕石の質量と海水の質量がごっちゃになっては困るので、隕石の質量を(M)、海水の質量を(m)とする。(M)は、球の体積に密度を掛けたもの。(m)は、円柱の体積に密度を掛けたもの。また、単位を揃える必要があるが、kmをメートルに揃えると、大きな数になっちゃうので、重力加速度(g)の9.8m/s^2を0.0098km/s^2とした。

図(6)

というわけで、Km単位なので、求めた津波の高さ(Height)を1000倍して、答えは、319メートル。

準決勝の第1問で、年齢を聞いているのに「秒」で答えた「浦和」と、計算ミスで誤答となった「開成」だが、ともに、第2問の漢文の問題は正解し、4校が1勝1敗で横並びとなった。そして、この第3問で「開成」は正解し、決勝へ1番乗りを果たした。「浦和」もサドンデスの第4問(エジプト文字の解読)で決勝へ進み、「開成」VS「浦和」の決勝戦となった。


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コメント

とてもわかりやすい解法です。
ありがとうございました!

 もやもやがすっきりしました。

投稿: 高卒親父 | 2010年9月11日 (土) 08時03分

高卒親父さん、コメントありがとうございます。

「高校生クイズ」を見て、「もやもや」した人が多かったらしく、このガスコン研究所のアクセス数が一時的にアップしました^^; 少しでも「もやもや」解消に役立ってくれれば、いいのですけど……。

投稿: Gascon | 2010年9月12日 (日) 20時58分

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