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2009年11月26日 (木)

■魔性の難問:リーマン予想・天才たちの闘い

 NHKスペシャルで「魔性の難問:リーマン予想・天才たちの闘い」が放映された。

 「ポアンカレ予想」に続き、今回も、美しい映像とCGで数学の難問を紹介してくれた。数学に関心がない人も、番組を見たなら「リーマン予想」に興味を抱いたに違いない。番組では、素数がいかに予測不能に出現するかを、素数階段のビジュアルで見せていた。自然数の長い道があり、道に書かれた数が素数だと一段上がる階段だ。オイラー先生がひとつひとつ、素数を確認しながら、その階段を上っていくのである。

 番組タイトルには「魔性の難問(The Cosmic Code Breakers)」と銘打たれていた。そこで、爺は、素数の星々を描いてみた。横100×縦100のマス目を作り、1万個の自然数を次々と調べていき、素数ならば、点を打っていくとゆーだけのFlashなんだけどね^^;

 上のFlashで描いた図を、画像ソフト(Photoshop Element)で球面に加工すると、なんとなく、宇宙っぽく見えないこともない^^;

リーマン予想(1)

リーマン予想(2)
(※出典:NASA Cosmic background Explorer)

 こちらは、COBEが捉えた、宇宙背景放射のデータ。爺は、宇宙開闢のゆらぎと、素数の分布を比べて、勝手な妄想を広げて酔っ払う^^;

リーマン予想(3)

 図は、自然数100000までを1000刻みの区分で出現した素数の数をカウントしたもの。素数の出現のしかたは、かなり、てんてんばらばらだ。だから、数学者はなんらかの法則を見つけ出そうとしている。かなり頻繁に出現したかと思うと、しばらく出現しないことがある(番組内で「素数砂漠」と評していた)。また、数が大きくなると、素数の出現数は少なくなる傾向にあるが、それでも無限に素数は存在している。爺には、その一様性のほうに驚いてしまう。

リーマン予想(4)

 ある数(n)までに出現する素数の個数を、すごく大雑把に知るには、常用自然対数、ln(n)の逆数にnを掛け合わせれば求めることができる。

リーマン予想(5)

 コンピュータなんて、なかった時代にレオンハルト・オイラー(1707~1783年)は、素数の謎に取り組んでいた。1,2,3,4…と続く自然数の逆数を無限に足していくと、これは無限になるよね。では、1の次は(1/2)、その次は、前の数の(1/2)、つまり(1/4)というふうに、前の数の(1/2)になるような数を無限まで足していくと、直感的にも限りなく「2」に近づくよね。誰も無限和を計算したことがないから、確かめようがないけれど、0.9999…を「1」とするように、これを「2」に収束すると定義しちゃうわけ。

 そこで、オイラーは、自然数を平方した数の逆数を足していったら、どーなるかを考えたわけ。

 じつは、スイスの数学者ダニエル・ベルヌーイ(1700年~1782年)が「1.6」にきわめて近いとしていたんだけれど、オイラーは、「π^2/6」に収束するという、驚くべき答えを発見した。

 ところで、高校で習った素因数分解を思い起こそう。番組でも「255は、51×5と表すこともできるし、さらに51は、17×3とに分解できる」としていた。つまり、255を素因数分解すると、「3×5×17」という素数の掛け算として表すことができる。1より大きい、素数を除く、すべての自然数は、素数の掛け算で表すことができる。しかも、素因数分解の一意性により、自然数と1対1で対応しているわけね。

 つまり、自然数を平方した逆数の無限和は、次のような「オイラー積」の式に変形できる。

リーマン予想(6)

 番組では、上の式を下図のようにしていた。ひとつひとつ計算してみれば、わかるけれど、結果は同じ。

 もちろん、オイラー先生といえども、無限まで計算したわけではない^^; だいたい、「1.644」くらいまでは、簡単に収束するけれど、これ以降はなかなか収束しない><;

 オイラー先生は、三角関数の「sin x」をマクローリン展開したときの、解によっては、無限次の多項式の因数分解が可能なことから、「π^2/6」とゆー結論に至ったのら(詳しく知りたい人は、酔っ払い爺のレベルを超えるので、下記で紹介する、「リーマン予想は解決するのか?」を読んでね)。

 さて、ようやく、ゲオルク・フリードリヒ・ベルンハルト・リーマン(1826~1866年)の登場だ。

 リーマンは、オイラー積の式を関数としてとらえ、「ゼータ関数」と命名した(オイラーの悔やまれることは、キャッチなコピーをつけなかったことだ^^;)。

リーマン予想(7)

リーマン予想(8)

※番組では、こんなふうに式を変形して表示してた。

 ゼータ関数をオイラー風に表すと、自然数の逆数の無限和級数として表すことができる。

リーマン予想(9)

 もちろん、リーマンの残した功績は大きい。オイラーは正整数(自然数)だけを考えていたのに対し、リーマンは、解析接続という手法を使って複素数全体への拡張を行った。たとえば「5」は素数だけれど、複素数(虚数)の世界では、5=(2+i)(2-i)と素因数分解されちゃうんだよね。

リーマン予想(10)

※爺註:数式にある「~」は、「から」という意味ではなく、漸近的に等しいという数学記号。xの極限値では、等しくなるという意味。

リーマン予想(11)

 自然数(n)までに現れる素数の数は? という問いに、「リーマンの素数定理」を著わす。nが十分に大きな数になると、リーマンの素数定理は、素数の数をかなり絞り込んで答えることができる。

 さらに、リーマンは、ゼータ関数のグラフを描き、滝つぼのように一番深いところ、零点に注目した。わかっている自明の零点の実部(実数値)は、すべて(1/2)になることを発見する(評価式の(1/2)に注目)。これが、「ゼータの本質的な実部はすべて、1/2であろう」という、リーマン予想につながる。番組では、リーマンの功績を「素数の並びに意味があるか?」という、これまでの漠然とした問いを「すべてのゼロ点は、一直線上にあるか?」という数学的な問題に焼き直したことだと言う。

 そして、ここからが、「リーマン予想」をめぐる、数学者のドラマになる。

 「リーマン予想」なんて爺にはまったくわからないが、数学落ちこぼれを自認する爺でも、番組は楽しく見ることができた。これを機会に、今まで「難しそう」と敬遠していた「リーマン予想は解決するのか?」という、黒川信重氏と小島寛之センセの対談本を読んでみた。とくに「リーマン予想まであと10歩」の章は、リーマン予想に至るまでの歴史的背景や、数学者の考え方を一歩ずつ、小島センセが、数学が苦手な文系の人にもわかりやすい言葉で説明してくれている。じつは、この記事のほとんどは、この本からの受け売りなのら><; もっと、愉しみたい方、もっと「リーマン予想」にお近づきになりたい人は、本書を手にとってほしい^^;

リーマン予想は解決するのか? リーマン予想は解決するのか?
―絶対数学の戦略

黒川信重/著
小島寛之/著
青土社
(2009/6)

≪追記:2010/06/19≫

NHKエンタープライズから番組のDVDが発売されている。

リーマン予想 リーマン予想・天才たちの150年の闘い
~素数の魔力に囚われた人々~


DVDディスク1枚(87分)
販売元:NHKエンタープライズ
発売日:2010/05/28

ポアンカレ予想 ポアンカレ予想・100年間の格闘
~数学者はキノコ狩りの夢を見る~


DVDディスク1枚(108分)
販売元:NHKエンタープライズ
発売日:2010/05/28


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コメント

物理と数学のかきしっぽ

で検索してみてください

全ての謎はそこにある

投稿: tai | 2013年6月17日 (月) 21時53分

http://taibuturi.fuma-kotaro.com/

にて

リーマン予想の証明

を公開

投稿: tai | 2014年5月18日 (日) 20時53分

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