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2009年8月17日 (月)

■がっちりマンデー:儲かる数式

TBS系列で日曜の朝に放送されている「応援!日本経済  がっちりマンデー!!」は、お金や経済にまつわる、いわゆる、独自の手法やアイデアで「儲かる話」を紹介している。いつもは、会社の社長などが登場し、自社の儲かる仕組みを話したりするのだが、先週は「儲かる数式」というタイトルで、ゲストも東大出身の森永卓郎と、八田亜矢子だったので、興味を持った。

番組中で紹介された、ひとつの数式が「楕円の公式」

楕円の公式

※効果音は、以下のフリー素材を使わせていただいた。
●ULTIMATEゲーム事業部

「楕円ビリヤード」には、面白い性質があって、楕円のふたつの焦点にボールを置き、球がクッションするように、壁のどこでもいいから狙って打つと、必ず、もうひとつのボールに当たる(爺の作ったFlashでは、焦点のひとつをポケットにしている)。キーボードの方向キー、または、画面上の矢印ボタンをクリックして、確かめてほしい。

しかし、これが、なぜ「儲かる数式」なのか……。

この番組では、取材した人物に「○○でがっちり!!」と決めポーズをとらせる。今回なら「儲かる数式でがっちり!!」というわけなのだが、「楕円ビリヤード」の説明をしてくれた、東海大学 教育開発研究所の秋山仁センセは、さすが数学者らしく、「楕円の公式でがっちり……儲けられる可能性もある」と付け加えていた^^;

この「儲かる数式」を応用したヒット商品というのは、医療で使われる「体外衝撃波破砕装置」。

「腎結石」は、自覚症状があまりないが、「尿管結石」になると、のたうちまわるほど痛いという。昔は、薬で痛みを和らげ、自然排出を待つか、外科手術によって結石を摘出した。しかし、近年は、「体外衝撃波破砕術(ESWL)」によって、結石を破砕し、日帰り治療も可能らしい。

楕円の片方の焦点を患者の「結石」に正確に合わせ、衝撃波を集中させることで「結石」を破砕してしまうのね。開腹手術も不要になるわけだ。つらつら、ネットを見て回ったら、最近では、音響レンズを使った方式もあるようだ。

んで、次の「儲かる数式」は、ピタゴラスの定理(三平方の定理)。

ピタゴラスの定理

ピタゴラスの定理を使った、儲かるヒット商品とは「カーナビ」。こちらも、キーボードの矢印キーで動かせるので、マップ上のどこにいても、3つの静止衛星が(コンパス定規のように)描いた円の3つの交点によって位置が特定されることを確認してほしい。

※キーボードの方向キーを押しても動かないときは、画面内を一度クリックして、Flashにフォーカスしてね。

新田次郎原作の小説「剱岳 点の記」が、今年6月、映画化されて、話題になったが、昔から、地形の測量や、地図の作成に「三角測量」は用いられていた。「カーナビ」は、宇宙からの視点で三角測量を行っているわけね。

余談だが、カーナビに利用している静止衛星は、アメリカ軍のもの。あるとき、アメリカが「電波使っちゃダメ!」と言い出したら、これに依存する「カーナビ」は、相当な混乱を招くかもしれない。また、イラク戦争や、アフガニスタン紛争などで、重要な戦況のとき、カーナビの精度が著しく向上するという、まことしやかな噂がある。軍事用と民生用で使い分けていることが考えられるが、非常時の場合は、民生用を一時的に軍事用レベルまで引き上げたということなのだろうか……。

番組では、この他にも、「儲かる数式」が紹介された。

クロソイド曲線(コルヌ螺旋)

上の数式は、「クロソイド曲線(コルヌ螺旋)」と呼ばれるもの。「Maximaの入門ノート」に掲載されていたコマンドを、そのまま、打ち込んでみると、以下のようなグラフが描けた^^;

クロソイド曲線(コルヌ螺旋)の図

この曲線は、高速道路と一般道を結ぶ、インターチェンジや、遊園地の「ループ・コースター」のループに進入するとき角度の設計に用いられているという。曲線と曲線、曲線と直線を結ぶ、緩和曲線として利用しているわけね。

冒頭でも述べたが、「がっちりマンデー!!」は「儲かる」ことがテーマの番組なので「もし『儲かる数式』がなかったら?」と、返答を迫る。「カーナビはできなかったですね。『a^2+b^2=c^2』でがっちり!」言わせられるパイオニア(carrozzeria)の人も、えらい迷惑だと、爺は思った^^;

この質問は「もし、人類が言葉を話せなかったら?」「もし、文字がなかったら?」と聞くのに等しい。

ガリレオ・ガリレイは「宇宙や自然は、数学的な言葉で書かれている書物である。数学的な言葉を会得しない限り、宇宙や自然を理解することはできない。」と言った。

もし、ガリレオに「もし『数学』がなかったら?」と聞いたら、「人は暗い迷宮をただ無駄に彷徨うばかりだ」と答えるだろう。

 「数学」の発祥の地とも言われるギリシャ。その昔とゆーか紀元前、ギリシャの賢人が弟子たちに数学を教えているとき、弟子のひとりが「先生、数学を学んで何の得になるんです?」と聞いた。賢人は「こいつは、金を儲けるために数学をやっているらしい、ならば、金をくれてやるから、この場を立ち去れ」と言ったそうな……。20世紀の日本、安達祐実とゆー俳優が扮する主人公が、「数学なんかいらない、数学するなら、金をくれ!」と、言ったとか、言わなかったとか……^^;


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コメント

こちらにも、いくつかコメントさせていただきます。
楕円鏡が一方の焦点から出た光をもう一方の焦点に
集める、というのは望遠鏡の光学系でも利用されることが
あります。主鏡の焦点を引き延ばすために使用するのですが
実際には双曲線面の副鏡を利用して、引き延ばす方が
主です。双曲線の場合でも、一方の焦点に向けて集まってくる光を
(焦点の前で)反射させることにより、もう一方の
焦点に集めることになります。
また、これらから放物面というのは、焦点が無限に離れた
楕円面の、特殊な例というのも、自然と理解出来ることに
なります。

投稿: Tan | 2009年9月 8日 (火) 13時19分

もう一方のGPSについてです。
実際には、GPSで位置を決定するには3つでは足りず
4つ必要ということになっています。一つは、時間を
校正するためということです。
幾何上は3つで位置が求まりそうなのですが、そうではない
理由の一つは、衛星が移動しており、位置が時間の関数である、
ということによるのではないかと思います。

なお、以前はGPSは確かに軍用と民生用に分けており、民生用は
あえて精度を下げた(誤差を含めた)情報を流していたと
聞いています。パパブッシュの戦争のときに、確かに
GPSが足りなくて、民生用機器を使用することにしたため、
一時的に民生用の誤差を取り去り、精度を上げたという
話がありました。

その後、既知の点におけるGPS測定位置との誤差を通知することにより
他の測定点における測定値を補正する(D-GPS)方法が考えられ
民生用の誤差を混ぜる意味がほとんどなくなってしまった
ので、現在では軍用と同様な精度となっていると聞いています。

なお、欧州でGPSと同様なシステムを構築したり、日本でも
独自で位置測定用の衛星を上げる、という話は無いではないの
ですが、お金の面でやっぱりなかなか難しいようです。

ほとんど数学話ではないのですが、ご参考までに。

投稿: Tan | 2009年9月 8日 (火) 13時29分

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