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2009年1月24日 (土)

■コマ大数学科120講:畳

 マス北野の誕生日は、1947年1月18日(62歳)、木村美紀の誕生日は、1985年1月19日(24歳)、そして、中村亨センセの誕生日が1963年1月22日(46歳)と、誕生日ラッシュの「たけしのコマ大数学科」。確かにガダルカナル・タカが1956年12月16日生まれの52歳であることを考えると、中村亨センセ、かなり、老けて見えるような……。

問題:図のような十畳の日本間に畳を敷き詰める組み合わせは何通りあるか?

【遊び方】マウスのドラッグ&ドロップで畳を敷いてほしい。エラーチェックはしていないので、畳はどこにでも置けてしまうのと、一度、置いた畳は移動できないので注意してほしい。

 コマ大数学研究会は、北区十条駅周辺の不動産屋で「十畳」の日本間の部屋を探すが、ひとつの物件も見つからない。しかたがないので、公民館(体育館?)で本物の畳を使い、組み合わせ数を検証した。部屋探しに9時間、実際の畳を敷いての検証に3時間をかけて、コマ大生がたどりついた答えは「95通り」。

 今回の問題は、非常に単純で明快なものの、何かしらのパターン、法則を見つけるのが困難だ。中村亨センセをもってしても、パッと解けるような方法は、思いつかなかったと言う。

東大生チーム
C120_01

 木村美紀(東大大学院)、岡本麻希さん(東大文三2年)の「野望メラメラシスターズ」は、4×5のマス目では、大きすぎるので、2×4(B)と3×4(A)のマス目に分けて考えた。2×4(B)の組み合わせは、5通り、3×4(A)の組み合わせは、10通り(本当は11通り)。分断した線を跨がない場合の組み合わせは、5×10で50通り。いっぽう、分断線を跨ぐ(C)や(D)の組み合わせは、4×5で20通り、合わせて「70通り」という答えになった。

マス北野チーム
C120_02

 マス北野は、1段の組み合わせは1通り。2段になると、5通り。3段では11通り……と、場合分けしたパターンを列挙した。そこで、1、5、11という数列を考えると、1段目の「1」から、2段目の「5」は、わからないけれど、3段の11は、(5×2)+1と表すこともできる。本人は苦し紛れと言うが、「フィボナッチ数列のあやしいヤツ」と考えると、4段は、(11×2)+5+1=28、5段は、(28×2)+11+5+1=73 となる。答えは「73通り」。

 中村亨センセの「美しき数学の時間」へ行く前に、爺が番組を見ながら考えた方法。

ガスコン爺、酔っ払いチーム?
C120_03

 1段目を除外し、4×4のマス目を2×2のマス目が4個と考える。それぞれの2×2のマス目は、縦に並べるか、横に並べるかの2通り。つまり、2×2×2×2=16通り。2×2のマス目を列の真ん中に置いた場合は、縦に並べる方法は、すでに左の図に中に含まれるので、横に並べるしかなく、1通り。それが2つで、2通り。最後に横1段は、3通りのパターンで置くことができるので、3通り。というわけで、2^5×3=96、答えは「96通り」となった。

 正解は、コマ大生の「95通り」。

 おまたせ、中村亨センセの「美しき数学の時間」。解法(その1)は、東大生がやったように、場合分けして、組み合わせ数を数える方法。しかし、ここで、気をつけなければならないのが、重複する組み合わせのカウントだ。それを避けるためには、まず、横で分割できない組み合わせを列挙する。

C120_04

 さらに、この表を参考にして、段(畳を敷き詰める部屋の大きさ)ごとに、組み合わせを考える。

C120_05

 場合分けして、すべての組み合わせを列挙する方法でも正解にたどりつくことができるが、正直、しんどい。

 解法(その2)は、マス北野がひらめいた「フィボナッチ数列」を使う方法。マス北野は、「組み合わせ数は、過去の組み合わせ数を足した数になる」というアイデアはよかったのだが、4×5のマス目に適用させようとして、わけがわからなくなってしまった。じつは、縦に2分割して、2×5段のマス目で考えると、階段を1段上るか、2段上るかの組み合わせと同じく、きれいなフィボナッチ数列が現れる。

C120_06

 つまり、2×5のマス目では、8通りの解があり、4×5のマス目では、8×8=64通りの組み合わせが考えられるが、これにも、縦に分割できない組み合わせを考慮する必要がある。

C120_07

 縦に二分割した場合の64通りに、縦に二分割できない、これらの場合を加える。64+18+8+3+2=95通りという答えを得ることができる。

 それにしても、ご苦労さまである。場合分けで考える限り、重複しない畳の敷き方を数えなければならない。ところがである。こんな、とっかかりのないような問題でも、一般項を求める式があると言うのだ。

 1961年に、カステレイン(Kasteleyn)、フィッシャー(Fisher)、テンパレイ(Temperley)が発表した「ダイマーモデル」(2量体)だ。

C120_08

 黒と白のように、ふたつの量体をつなぐ方法の組み合わせを考えていたのね。中村亨センセによると「カステレインだけが、しつこかった」^^;カステレインは、理論を発展させ、立方体の詰め込みを考えた。なんとなく、分子構造や、塩基配列のモデルのようにも見えるよね。ダイマーモデルは、統計的手法の理論らしいけれど、21世紀に入り、量子物理学や、高分子の分野などでも、注目を浴び、ブームになっていると言う。

 で、その一般項を求める式は、以下のようなもの。


(※kasteleyn.zip 注:Flash8)

 たとえば、(m)=5、(n)=2とすると、フィボナッチ数列の5項「8」という答えを得ることができる。この式は、フィボナッチ数列の三角関数表記として、捉えることもできるんだね。それにしても、こんな複雑な式に(m)と(n)を代入すると、結果として、整数が返ってくることに驚き。フィボナッチ数列のように、その値は指数的に増える。(m)=10、(n)=8として、40畳の日本間では、約10億通りの敷き方がある。ただし、倍精度計算の限界があり、掛け算を繰り返すと、戻り値が「88.9999999999999」のように整数にならないこともある。

 ところで、「数学ガール フェルマーの最終定理」(315ページ)に「えーとねー、このΠ(鳥居)みたいな記号がわかんないだな」というユーリに対して、「Π(鳥居)じゃなくてΠ(パイ)だね。これは掛け算を表す記号だよ」と「僕」が答えるシーンがある。

 「Π」は「π」の大文字(ギリシャ文字)ね。爺は「数学ガール」を読んでいたので、どーにか、こーにか、この式を理解できた^^; 結城浩さんに感謝!

《追記:1月31日》
上記に掲載したFlashのソースを少し変更したので、追記しておく。変更点は、(2,(m*n/2))の部分を最初に掛けるか、最後に掛けるかの違い。計算の過程を表示しているので、やはり、数式どおりの順番で最初に掛け合わせておいたほうが良いと判断した。ダウンロードファイル(kasteleyn.zip)も修正済み。

 ついでに、他の言語や「エクセル」で計算したい人のため、スクリプトも貼り付けておこう。
-------------------------------------------------
// コマ大数学科120講:畳 (2009/01 Gascon Laboratory.)
var m = 5;
var n = 4;
var ans = 0;

calc();

function calc() {
    myMessage.text = (m*n/2)+"畳の日本間の畳の敷き方(組み合わせ数)";
    kekka.text = "";
    ans = Math.pow(2,(m*n/2));
    for(j=1; j<m+1; j++){
        for(k=1; k<n+1; k++){
            temp1 = Math.cos((j * Math.PI) / (m+1))*Math.cos((j * Math.PI) / (m+1));
            temp2 = Math.cos((k * Math.PI) / (n+1))*Math.cos((k * Math.PI) / (n+1));
            ans *= Math.pow((temp1 + temp2),(1/4));
            kekka.text += ans +"\r";
            kekka.vPosition = kekka.maxVPosition;
        }
    }
}
-------------------------------------------------
 ちょっとだけ、説明しておくと、Flashで累乗計算をする場合は「Math.pow(基数,乗数)」を使う。べき「^」記号は別の意味で使われているからだ。COSの二乗計算をふたつに分けているのは、たんに計算式が長くなるのを避けるため^^; 「kekka.text」は計算結果をテキストエリアに表示するためのもので「kekka.vPosition」は、Flash特有の記述だよ。表示関係の不必要な部分を取り除けば、ずいぶん簡素になるはず。

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※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト


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