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2008年11月26日 (水)

■あなたが裁判員になる確率

 2009年5月21日からスタートする「裁判員制度」だが、まだまだ周知されているとは言えない。結城浩さんの「www.textfile.org」経由で、奥村晴彦氏の「Okumura's Blog」を見た。

 あるテレビ番組(爺は見てない)で、裁判員になる確率は「5000分の1」と報じていたらしいが、奥村氏いわく「『1年あたり』という大事なところを言わないのは、確率が小さいと思わせるためか。本当はこれから50年生きる人なら裁判員になる確率は約1/100のはず」とのこと。

 そこで、ガスコン爺も、この問題について考えてみた。


(※ガスコン研究所調べ)

 自分が「裁判員」になるかもしれないという可能性(確率)を表すとき、「0.0002」とするより、「5000人に1人」といったほうがわかりやすい。テレビ番組などでは、時間的制約もあるだろうけれど、データの拠出や、計算方法を示さず、ただ結果のみを提示すると、誤った印象を与えることになる。

 そこで、ガスコン研究所では、そもそも「5000分の1」とした根拠は「正しい」のか、疑ってみた。もちろん、奥村氏の言うとおり、これは「1年あたり」の確率であり、あなたの一生の間の確率ではない。

 政府も「裁判員制度」を導入するにあたって、広く国民に周知させる必要があるので、テレビCMや、インターネットでも「裁判員制度」というサイトを作っている。

 基本的なポイントを要約すると、裁判員は、各地方の裁判所の管轄区域の衆議員議員選挙の有権者名簿から選ばれるということ。各地域、1年ごとに30名の裁判員登録を行う。裁判員は、対象事件ごとに、この裁判員登録された人の中から、くじ引きで、裁判員6名と補助裁判員2名が選出される。

 そこで、裁判員になることのできる資格を考えると、衆議員議員の有権者から選ぶので、20歳未満の非有権者は除外される。これ以外にも、最初から、このリストから除外される(裁判員になれない)人がいる。

裁判員の欠格・職務

 現在、衆議院は480人、参議院は242人、併せて722人の国会議員、47都道府県の知事、そして、全国市町村長の数は、「平成の大合併」によって、2009年3月に1779になる予定だが、その数の分だけ、首長が存在する。全部合わせても2548人だ。不明なのが、国の行政機関の幹部職員の数。幹部職員とは課長以上の職につく人とのことだが、ガスコン爺が調べた限りでは、当該データを見つけることができなかった。

 2008年11月現在の「日弁連」の会員数は、2万5522人。いっぽう検察官は、2300人(2002年度)、裁判官は3100人(2005年度)、ざっと法曹界全体では、3万人。

 自衛官は24万8647人(平成19年度末)。わざわざ「自衛官」としていることから、自衛隊員のうち、事務官、防衛参事官などは含まれていない(防衛参事官は、国の行政機関の幹部職員の数に含まれるかも)。警察官の数は全国で24万9000人(平成18年度)とほぼ同数。

 現在、服役中の人や刑事事件で起訴され、結審していない人、勾留中の人も「裁判員」になることができない。また、心身の障害(*)については、裁判員の職務の遂行に著しい支障があると裁判所が判断した場合のみ。

 これら欠格や職務事由で、裁判員になれない人を合計すると、概算で60万人くらい。しかし、もっと多いのは、申し立てによって、裁判員の職務を免除される人たちだ。

裁判員の免除事由

 学生は免除されるが、対象は20歳以上の有権者なので大学生(大学院生も含む)の数は半分として考えて、160万人くらい。海外に居住している、在留邦人有権者(約80万人)も免除される。裁判所に出向くのが大変だからだ。また、身障者の人も、同じ理由で免除される。70歳以上の人も免除される。もちろん、ここに挙げた人たちも裁判員にはなれる。あくまでも、申し立てをした場合に裁判員の職務を辞退することができるというだけだ。でも、在留邦人有権者が裁判員になった場合は、航空機による交通費を認めることになり、税金が使われることになる。

 ガスコン研究所では、免除事由がある人たちが、自ら進んで、裁判員を引き受けないとして計算した。

 この他にも、辞退できる場合がいくつか挙げられている。重い病気やケガ、妊娠中や、出産後8週間、親族・同居人の介護・養育などだ。「仕事が忙しい」という事由は認められていないが、「事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある」場合は認められている。「著しい損害」がどの程度の判断基準なのか不明だが、これらの申し立てが認められた場合は、辞退の事由が見つからない人が裁判員に選出される確率は、さらに上がるだろう。

 ところで、刑事裁判は、毎年、地裁だけでも10万件以上行われているが、裁判員裁判の対象となるのは、たとえば、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などの重大犯罪だ。上記の「裁判員制度」のホームページで、対象となる事件数も公開されている。

対象事件数と裁判員の数

 ひとつの事件の裁判に裁判官3名に加え、「裁判員」は6名が任命される。日当8000円程(現時点では未確定)で、数日間(一週間程度)の裁判を集中的に行う。その間、裁判員の行動は、ある程度、拘束されるわけだが、意外とメディアでは伝えられていないと思うのは、補助裁判員という存在だ。裁判員の不測の事態に備えて、補助裁判員を2名選出しておくことになっている。補助裁判員は、裁判には参加しないものの、裁判員と同じように裁判中は、裁判所に出向き、その行動を拘束される。

 言い忘れたけれど、裁判員に選出されると、その年に他の裁判の裁判員に選出されることはない。しかし、年が変われば、リセットされる。再度、裁判員に選出される可能性はあるのだ。

 というわけで、冒頭のFlashは、上記のデータ(おもに統計局のホームページ)をもとに、年あたりの「裁判員に選出される確率」を求め、現在の年齢から辞退可能な年齢までの、トータルな確率を計算している。

 「裁判員」は国民の義務、一生のうちで、一度くらい裁判員を経験したいと思う人もいるだろう。逆に「裁判員」の責任の重さに尻込みする人、数日間、行動を拘束されることに拒否反応を示す人もいると思う。あくまで、冒頭のFlashによる確率は、「ガスコン研究所」調べとゆーことで、よろしくお願いしたい。

《追記:11月27日》
 重要なポイントを書き忘れていた><;

共同通信のニュース(2008/10/18)から引用

裁判員裁判は都道府県庁所在地と函館、旭川、釧路の地裁本庁50カ所と八王子、小倉などの支部10カ所で実施される。

地域差

 裁判員名簿の作成は、各都道府県と地裁本庁、支部を合わせた60か所で行われるため、地域差が大きい。最も差が大きい地域を比べると、約9倍もの差がある。


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コメント

結構当たりそうですね。
あと、あっちの世界で生きる怖い人達やホームレスはこっそり除外してそうですね(笑)

最近のニュースを見ていると
総理大臣にこの制度を用いた方が良い気がします(笑)

まぁ、その前に携帯電話が1人に1台のこの時代に6人をチョイスというのもなんだろなぁって話なのですが。

投稿: マミタソ | 2008年11月27日 (木) 19時01分

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