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2007年10月28日 (日)

■哺乳類と爬虫類のあいだ

「哺乳類と爬虫類の違いを答えよ」と質問したら、多くの人は「哺乳類は子供を産んで育て、爬虫類は卵を産む」と答えるのではないだろうか。しかし、哺乳類である「かものはし」は卵を産む。

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「イルカ」や「クジラ」は海に住む哺乳類だ。イルカやクジラが魚類と違う点は「卵生」「胎生」の他に、尾びれの付き方が違う。イルカやクジラは身体の上下運動で進むため、尾びれは水平についている。いっぽう、魚類は左右に身体を動かして進むため、尾びれは垂直に付いている。

 これは陸上で暮らす哺乳類と爬虫類を比べてみても、哺乳類は足が発達すると同時に骨盤の形状が進化したため、上下運動で進み、爬虫類は身体を左右にくねらせて進む。

 「ガスコン研究所」によると、陸上の哺乳類の中に爬虫類のDNAを色濃く残す事例を発見したという。これは生物の進化を考える意味で興味深い。

 二体のサンプルは共に、哺乳類でありながら、身体を左右に揺らしながら進む。左右の振幅度を測定すると、左のサンプルは、身体の腰のあたりに爬虫類の特性が表れている。右のサンプルは、頭が爬虫類のようだ。

「ガスコン研究所」の研究成果は、ともかくも、「生物と無生物のあいだ」を読んで、前々から興味を抱いていたのは、その「生物と無生物のあいだ」にある「ギリギリの境界」だ。そもそも、境界線は人間が引いたもの、人間の都合で考えられた概念だから、自然界に境界線なんぞ存在しない。先ほど例に挙げた「かものはし」のように哺乳類でも卵を産む動物はいるし、グッピーやマムシのように卵生でありながら、卵を産まない(正確には体内で卵を産み孵化させる)卵胎生の生物もいる。

 こういった生物学上の分類は、適当な閾(しきい)値を設定して、どちらに属するかで分けているわけではなく、ちゃんとした根拠があるわけだ。生命の目的が種の保存だとすると、卵生でいくか、胎生にするかでは、大きな戦略の違いがある。魚類なんかは何万、何十万の卵を一度に産む、そのうちの多くは、孵化できなかったり、他の魚に食べられたりするが、数で勝負なわけだ。卵生が多産なのに対し、胎生では、一度に多くの子供は産めない。しかし、一番危うい時期を胎内で育て、他の種に食べられることはない。つまり、戦略の転換というよりも、発想の転換、エポックメイキングな出来事だったのだと思う。でも、自然界はボーダーレスなので、どっちつかずの例外的な、はみだし野郎が必ずいるんだよね。

 つまり、その境界付近がおもしろいと思うわけ。境界付近を探索すると、その後「ふたりの運命を分けたのはなんだったの?」的な原因や理由がわかるかもしれないじゃない。動物、植物、菌類、原生動物……の行きつく先は「生物と無生物のあいだ」。ウイルスは自己複製するけれど、自己だけでは増殖できない、その複製を作る仕組みも驚きだが、幾何的な構造、結晶になるというのも驚きだ。

 数学の世界では、1次元、2次元、3次元……n次元の世界を扱うが、1次元の線であるペアノ曲線は2次元平面を充填してしまうし、2次元図形のシェルピンスキーのギャスケットを無限に分割していくと面積がゼロになってしまう。1次元、2次元と整数で区切るのは、わかりやすいが、シェルピンスキーのギャスケットは、1.585次元の非整数次元になる。

 う~む、ボーダーレスの話ということで、オチもレス。

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