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2007年6月 3日 (日)

■素数ゼミの謎

先日、夕方のテレビのニュースで「シカゴで17年ゼミが大量発生」というニュースを見た。木の幹にも葉にも、セミがびっしり。木の根元にはうず高くセミが密集している。なんでこの時期? これも暖冬の影響? と思ったが、アメリカでは17年周期で大量発生するセミがいるらしく、その数は、数十億匹とも言われ、はんぱな数じゃない。それだけの数のセミが一斉に鳴きだすと、上空を飛ぶ飛行機の音も聞こえなくなるほど、すさまじいという。しかし、騒音被害くらいで、他に害はない。それどころかセミは貴重な蛋白源。とくに羽化したばかりの青白いときがおいしい(?)ということで、日本人のリポータが生で食べていた。地元の人たちは「セミ・パーティ」を開き、クッキーなどにセミを混ぜ込んで焼いて食べている映像も流れた。

20070602_01素数ゼミの謎
吉村仁/著 石森愛彦/絵
出版社:文芸春秋
ISBN:978-4-16-367230-4
発行年月:2005年7月
価格:1500円(税込)

私は学校で「セミの幼虫は7年間、地中で過ごし、地上に出て成虫になると7日間で死んでしまう」と習った。日本のセミは、年によってセミの声よく聞くな、あるいは少ないな……と思うくらいで、同時に大量発生するような周期性を持っていないように思われる。なぜ、アメリカでは17年周期で大量発生するセミが現われるのか……。

じつは、アメリカには17周期ゼミの他にも13年周期ゼミも存在する。これらは「素数ゼミ」と呼ばれている。どうして素数周期になるのか、どうして素数周期が形成されたのか……静岡大学の吉村仁氏は、独自の視点でこの謎の解明に挑む。

ひとつは、鳥やトカゲやカマキリなど、外敵に食べられても、十分子孫を残す数を残すこと。私はセミを食べる気はしないが、とくに鳥類にとって貴重な蛋白源であることに変わりない。セミは、食べられても子孫が生き残るように圧倒的な数で勝負なのだ。魚が一度に何十万個、何百万個の卵を産むのと同じだ。

はじめは、いろんな周期のセミがいたが、セミは地上に出ると一斉に交尾して子孫を残すが、周期の違う種類のセミどうしの子孫は周期がバラけてしまい、十分な数にならない。できるだけ、他の周期のセミとかち合わないように地上に出ることが条件になる。

20070602_02

それぞれの周期で地上に出た場合、他の周期のセミとかち合う確率は、それぞれの最小公倍数の逆数になる。たとえば、12年周期のセミが50:50の合コンをしたら、そのうちの2匹くらいは16年周期のセミが紛れ込んでいるかも……という感じ。13や17といった素数の場合は、他の周期と重なり合う確率が低い。それでけ、それだけ、単一な周期の子孫が残ることになる。(6月11日追記:「それでけ」ってなんですか^^;)

吉村仁氏は、このような周期が形成されたのは、氷河期が影響したのではないかと考えた。温暖な地域のセミは比較的周期が短く、寒い地域のセミは周期が長い。アメリカでは、周期の長い13年、17年周期のセミが氷河期を生き残り、他の周期のセミは死滅してしまった。一度形成された周期は、氷河期のあとも、続いたと考えられる。

いずれにしろ、セミが「素数」を生き残りの戦略としているのは、興味深いよね。

《参考》
■Yahoo!ブックスの吉村氏インタビュー
■静岡大学 吉村研究室
■Mathematicaフォーラム「素数周期ゼミの不思議」
■米国周期ゼミの部屋

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