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2006年9月 4日 (月)

負け犬と、勝ち犬?

 世の中には「勝ち組」と「負け組」のような、二項に分類するのが好きな人が多いようだ。似たような分類として「金持ち父さん、貧乏父さん」や、古くは「マル金、マル貧」などがある。

 「負け犬」は、未婚、子ナシ、30歳以上の女性、「勝ち犬」は、既婚、子供ありの30代女性という分類もあるね。でも、「負け犬」という言葉はあるけれど、「勝ち犬」という言葉は、あまり聞かないような……。

Mutugorou

 象のオシッコも飲んで確かめるし、ライオンに指を噛み切られても、ライオンのことを心配する、畑 正憲氏(通称、ムツゴロウさん)によると、「負け犬」とは、「群れに対して『腹』を見せられない犬のことです」と定義する。つまり「お腹」は、非常にやわらかく、重要な臓器があるため、咬まれると致命傷になってしまう。しかし、群れに対して、そのウィークポイントである「腹」をさらけ出すことで「私は群れに属しますよ、私の命は群れに預けますよ」という絶対服従の意思表示をする。これができるか、できないかで「負け犬」が決まってしまうと言う。

 「負け犬」は、群れの一員として、自分の弱点「腹」を見せることができない。当然、群れからは弾き出され、疎外され、孤立して生きることになる。厳しい自然の中で生きていくため、犬社会では、群れと行動を共にし、群れの中で生きていくほうが圧倒的にリスクが少ない。なぜ、負け犬は自分の腹を見せることができないのか。それは、咬まれたら命はないという恐怖だ。他者(他犬?)を信用できない疑心暗鬼の心だ。それを克服できない犬は「負け犬」となってしまう。

 ところで、どの組織に属さず、自分の力だけで生きている人のことを自称、他称も含め「一匹狼」などと言う。犬も狼も群れで行動する動物で、その点では「負け犬」も「一匹狼」も意味合いとしては同じものだ。しかし、受け取るイメージとしては、大きく違う。「一匹狼」というと、自らの意思で群れに与せず、自らの力を信じ、たったひとりで生きていくパワーを感じる。いっぽう「負け犬」は、自らの意思とは関係なく、他者から貼られるレッテルで、最初から負けちゃっている感じがする。生態系としてのルーツは、ごく近いはずなのに「狼」は、人間界とは相容れぬ存在で、孤高の存在というイメージ、「犬」は人間に飼いならされ、飼い主には尻尾を振りまくり、権力には絶対服従で逆らえない、権力にへつらうイメージがある。コイズミも髪型こそ、ライオンヘアだが、そのじつ、ブッシュの忠犬ポチなどと揶揄されている。なぜ「犬」と「狼」では、こんなにもイメージが違うのだろうか。

 犬社会では、群れの中でも階級のランク付けが行われる。人間と共生し、愛玩動物となった犬だが、自分が所属する群れの中でランク付けをすることを忘れてはいない。犬は人間に飼われていても、その家族の中の力関係を判断して、自分のポジション(ランク)を認識する。いつも犬のエサを用意し、世話をしている奥さんの言うことを聞くのかと思えば、全然、世話をしていない夫の言うことを優先的に聞いたりする。

 で、ひとつの基準となるのが、食事の順番だ。犬や狼の社会では、群れの中でポジションが高い犬が、先にエサにありつける。ポジションの低い犬は、その間、がまんして待っている。会社で残業して帰りの遅い夫は、家族の中で、一番最後に食事をとる。そんな状況を犬はちゃんと見ている。たまの休みぐらい、寝坊したいと思っても、じゃま者扱いをされている夫を犬は見ている。夫の家族の中のランクは下がるばかりだ。

 ペットを愛するあまり、生活の中で犬を優先するようになると、群れの中で自分がボスだと認識する「勘違い犬」も登場する。家族を自分を世話する僕(しもべ)として勘違いしちゃうわけだ。だからボスである自分の気に食わないことをすれば、「ボスに対して、なにをするんだ!」と咬みつく。つまり「飼い犬に手を咬まれる」のは、ちゃんと犬と接していない飼い主の責任なのだ。なんだか、犬社会だけでなく、人間社会でも少子化で「ひとりっ子」のため、大事に育てられ、欲しいものは何でも手に入る子供たちにも「勘違い君」がいるような気がする。

 さんざん、犬の悪口を書いてきたが、私はけっして犬が嫌いなわけじゃない。盲導犬や、介助犬、麻薬捜査犬や警察犬など、その献身的な働きぶりや、嗅覚をはじめとする優れた能力には感嘆する。犬は人間にとって、何ものにも代えることのできないパートナーと成り得る。盲導犬のドキュメンタリー番組などを見ると、思わず、号泣してしまうことがあるくらいだ(歳をとると涙腺も緩むみたいだ)。

 そんな犬の能力の一端として、「これはスゴイ!」と思ったのが、「がん」を嗅ぎ分ける犬だ。犬は飼い主の身体の不調や病気を知るという話は聞いていたが、人間の吐く息だけで、「がん」に患っているかどうかを嗅ぎ分けることができるというのだ。それも「早期がん」まで。トレーニングを積むことで、最先端の医療システムに勝るとも劣らない確率で嗅ぎ分けるという。とゆーか、逆に犬の優れた能力に着目し、科学的に分析することで、人間の吐く息で「がん」を検知するシステムの研究も進んでいるらしい。

OJPC福祉犬育成協会

 話はダックスフンド……あれ、思ったほど、語感が似ていない;;。あらためて話は「ダッフン」じゃなくて、脱線するが、救急車のサイレンに犬が反応して吠えることは、よく耳にする。「SPA!」には「バカはサイレンで泣く」というコーナーもあったくらいだ。私の住んでいる地域では、昔ながらに「ト~フ~♪」というラッパの音とともに、豆腐屋さんが、時折やってくる。もちろん、豆腐はパック詰めされたものだが……。すると、豆腐屋さんの「ト~フ~♪」のラッパに合わせて、近所の犬たちが「Yo~Yo~♪」とラップを踊るわけがなく、「ア~ウォ~ン♪」と音程を微妙に合わせて吠える。バカ犬だなぁと思いつつ、思わず、微笑んでしまう。自分もバカ犬に共鳴して、なんとなくハッピーな気分になる。「負け犬の遠吠え」ではなく、「飼い犬の豆腐吠え」ということで、おあとがよろしいようで……(すまん、おあとに、よろしくないオヤジ臭が漂ってしまった;;)。

 駄文を書きながら、テレビ朝日の「ワイドスクランブル」に出演する、小飼弾氏を拝顔しようと思ったのだが、もう酔いが限界……。

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コメント

はじめてまして。
素晴らしいイラストに見とれ、ブログの内容に引き込まれるようにして、読ませていただきました。
この方、タダモノではないと思い、つい、プロフィール拝見いたしました。なるほどと思ってしまいました。
「盲導犬のドキュメンタリー番組などを見ると、思わず、号泣してしまうことがあるくらいだ」とおっしゃられるガスコンさんに是非見ていただきたいテレビ放送があり、TBさせていただきました。お時間が許されましたら、どうかご覧ください。
これから、過去ログも読ませていただきます。

投稿: あい | 2006年9月 4日 (月) 11時51分

トラックバックとコメントありがとうございます。

「がん」を嗅ぎ分けられる犬もTBSの「夢の扉」で
紹介されていたのを見て、知りました。

10月1日というと、だいぶ先になりますが、
忘れないで見ようと思います。

投稿: ガスコン | 2006年9月 4日 (月) 21時12分

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