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2006年7月14日 (金)

第13回:ソファー問題

 去年の12月に購入したばかりのパソコン(Windows XP)が壊れた。リカバリーもできないことから、ハードウェアのどこかが壊れた可能性がある。こうなるとお手上げだ。使用期間、半年ちょっとで、なんで壊れるのかなーと、かなりヘコんだ状態で「たけしのコマネチ大学数学科」を見る。

Ex_1301  まずは例題「図のような直角に曲がった幅1mの通路で運ぶことのできる長方形のソファーの最大面積を答えなさい」

 コマ大数学研究会の面々が体を張って出した答えが「0.98」平方メートル。そこへマス北野が「1m×1mの正方形でも、それより大きい」と、するどい突っ込みが入った。

Ex_1302_2  これに対してコマ大数学研究会の面々は、「1平方メートルまではいきませんよね」と、竹内薫センセに助けを求めるが、「数学的には入るということで…」と薫センセも困惑ぎみだ。「引越し屋さん的には、そうはいきません」ダンカンの言うとおり、現実的には、1mの通路に1mの幅のソファーを通せと言われても、引越し屋としてはコマってしまうだろう。必ず「余裕」、「遊び」が必要だ。

Ex_1303_1  それはともかく、長方形の場合も、面積は1平方メートルになるとのこと。

 さて、これを踏まえ、今回の問題は「この1m幅の通路を通ることのできる最大のソファーの形は?」

Ex_1304  東大生の解答は、円を半分にした形。面積は「Π/2」で約1.57平方メートル。マス北野は、角を曲がりやすくするため、ヘコみを入れると、さらに面積の大きなソファーを通すことができることまで気が付いたが、具体的な形、最大面積までは出すことができなかった。結論から言うと受話器のような「ハマースレー型」になるらしい。

Ex_1305  数学的なことはともかく、このヘンテコな形をしたソファーが1m幅の直角の通路をすり抜ける様を見せられたら納得するしかない。さらに「ハマースレー型」の角を少し丸めた「ガーバー型」もあるらしい。

Ex_1306  通路の壁に沿って90度回転する「ハマースレー型」のソファーを見て、マス北野は「ロータリーエンジンみたいな動き」と称したが、興味のある人は、Wikipedia「ルーローの三角形」と「式から求めるトロコイド曲線 ~オニギリ・ジョーPresents~」のサイトが参考になるかも。もっとも、数式の部分は、私には難しすぎて理解しようという気にもなれず、ビジュアルを眺めただけだが……。

 ところで、竹内薫センセの「ビジュアル式 数学嫌いが治る本」を読んだ。副題に「絵で考えると、面白いほどわかる」とある。この本は、「ルーレットとモンテカルロ法」(確率入門)から始まり、「サイン・コサイン・タンジェント」(三角関数)や「微かに分けたり積み重ねたり」(微分積分入門)といった章に分かれていて、「数学オチこぼれ」の私にもわかりやすいように、難しい数式よりもビジュアルを多用して説明してくれている。「なるほど、そうだったのか」と唸りながら読み進めた。途中「コマネチ大学数学科」の第5回「ケプラー予想」の問題も登場する。

 で、この本には、じつは大きな野望が秘められている。それは、「数学嫌い」を治すだけでなく、最終的に、今、株価分析などで話題を呼んでいる「ブラック・ショールズ方程式」を理解させるところまで、私たちを連れて行こうという無謀とも言える試みだ。モンテカルロ法も三角関数も微分積分も、そのための伏線、一歩ずつ登る階段なのだ。

 「数学オチこぼれ」の私にとって「微分積分」は難関中の難関。よく「微分はグラフの傾き」、積分は「グラフの面積」を求めると書かれているが、意味としてはわかるのだが、いまいち感覚的に「わかった!」とは、言い難かった。本書は「文科系ビジネスマン?」を対象にしているので、微分は「売上」の「前年度比」と説明している。もちろん「前月比」、「前日比」と微分していくことが可能だ。一方、積分は「前日比」、「前月比」を積み上げていくと「総売上」になるという説明をしている。「なるほど~」とわかった気になる。

 ビジュアル的に解釈すれば、デジカメ写真をどんどん拡大(ズームイン)していけば、ドットのギザギザが見えてくる。これが「微分」で、逆にズームアウトしていけば、滑らかに見える。これが積分だ。

 たとえば、第10回の「トイレットペーパー」でトイレットペーパーに切り込みを入れ、それを展開して台形にすることで、その断面積を求め、トイレットペーパーの厚みや巻き数を求める問題だって、細かく見ると、トイレットペーパーの厚み分の段差(ギザギザ)があるはず。そこには微分積分という考え方が入っているはず(間違っていませんよね?>竹内薫センセ)。

 本書で竹内薫センセは、とりあえず「紙と鉛筆を使って計算してみる」ということを力説している。難しい数式を「難しい」とあきらめて、何もしなかったら、何も生まれず、何も理解を得られない。

 私は本書を読み通した(つまり眺めた)だけで、まだ何も実践をしていないので大きいことは言えない。でも、いつか「エクセル」で「ブラック・ショールズ方程式」を使って株価分析に挑戦してみたいと思う。そのとき、あらためて、本書を再度、紹介したい。

 最後に本書を読んで、「へぇ~そうなのか!」と驚いたこと。それは「勾配」に関すること。よく道路や鉄道で勾配率を表す「5%」といった標識があるよね。この「勾配率」なんだけど、じつは角度「45度」を勾配「100%」と表記するのを知った。tan(45度)=1、=100%だからだ。

Ex_1307

 で、本書の受け売りだが「勾配率100%は45度、では勾配率10%は、角度に変換すると何度か?」という問題。勾配率100%が45度だから、その1/10で「4.5度」という答えは、性急すぎて竹内薫センセの「思うツボ」にはまってしまう。要は「tan(?)が「0.1」になればいいはずだ。「エクセル」を使って、結果から逆計算してみよう。

Ex_1308

 tan(45度)が「1」、つまり「100%」になる。エクセルでは、引数の角度はラジアン値で指定するので、セルC2は「=radians(45)」として、ラジアン値を求める。セルD2は「=tan(C2)」とする。すると「1」になるわけ。
勾配が「1/10」になるということは「tan(ラジアン値)」が「0.1」になるということなので、このときのラジアン値を求めるには、タンジェントの逆数、アークタンジェント「=ATAN(D3)」とする。さらに、このラジアン値を角度に変換するには「=DEGREES(C3)」で、結果は「4.5度」ではなく、約「5.71度」になる。

 というわけで、Windows XP(Office 2003)が壊れてしまったので、普段、あまり使っていないWindows 2000(Office 2000)で作成した……;;

数学嫌いが治る本 ビジュアル式 数学嫌いが治る本

著者:竹内 薫
販売元:インデックスコミュニケーションズ


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コメント

ううう、いつも拙著をご紹介いただき、かたじけない。

この本は、ちょっと見直しとチェックの時間をはしょったために、いくつか誤植(というか誤り)が残ってしまいました(汗)

それも得意のモンテカルロ法の説明でコインを使ったところが完全なまちがい。赤面のいたりです。

また、ドラム缶のところも、正確には長さが0.5足りません。

二点ともオフィシャルサイトに正誤表が載せてありますので、ご参照ください。

(最近は、数学科出身の間中さんという方に、数式などの徹底チェックをお願いしています。自分だと、どうしてもまちがいに気づかないんですよ・・・言い訳でゴメン)

テレビ番組のほうも、神経質なほどチェックしていて、何人かでチェックしているのですが、それでも誤りが紛れ込む可能性があります。

より良い番組づくりのため、お気付きの点は、遠慮なくご指摘ください!

投稿: 竹内薫 | 2006年7月15日 (土) 00時56分

 一般書の場合、校閲さんや編集者が文章の間違いをチェックしてくれますが、数学書の場合は、数学的な誤りをチェックする人が必要になるんですね。

 よく考えれば、コイン10枚を投げたとき、裏表の数は正規分布の形になり、一様な乱数にはなりませんね。

 はやく、現在の版を売り切り、重版のときに対応していただく……ということで。

投稿: ガスコン | 2006年7月15日 (土) 13時11分

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竹内センセのブログ「薫日記」でも紹介されていたけれど、「インド式計算ドリル」がベストセラーになっているという、中村亨センセの「コマネチ大学数学科」第45講。お題は「軌跡」だよ。 問題:1辺が6cmの正方形の中にコンパスを使い、図のような図形を描く。この図形を直線上で1回転させたとき、図形が通った軌跡の面積を求めよ。 これが、ルーローの三角形ならば、以下のようになるのだが……。 ... [続きを読む]

受信: 2007年5月12日 (土) 02時09分

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